非常勤の声

『非常勤の声』第4号

2004年12月17日発行

関西圏大学非常勤講師組合
〒542-0012 大阪市中央区谷町7丁目 1-39-102 大私教気付
委員長:新屋敷 健
郵便振替 00950-2-203528
URL: http://www.hijokin.org
E-mail: infoアットhijokin.org

神戸大学が賃下げを撤回! 続く減ゴマ撤回の闘いにご支援を!

神戸大学は,4月に行なった非常勤講師給の約10%の賃下げを,11/30団交の席で撤回した.

そもそもこのような賃下げは間違っていた.しかし世の中には,残念ながら,不正はまかり通っていて,神戸大学でもこの賃下げは断行され,10月上旬には,更に,フランス語の非常勤講師7名へ,来年の0.5コマの減ゴマ通知が出された.

日本全体を見れば,現在,労働者の3人に1人は非正規雇用であり,非正規労働者の待遇改善は緊急の課題となっており,昨年8月にはパートタイム労働指針も改正されている.また,首都圏非常勤講師組合等と共に,組合が文科省や各政党の議員への働きかけを行った結果,国会でも大学非常勤講師問題が何度も議論されているし,マスコミにも大学非常勤講師問題が頻繁にとりあげられている.

そのような中,神戸大フランス語非常勤講師のひとりから相談のメールが組合に届いた.「・・・せめてこの一方的な減給,減コマの明確な理由を知ることはできないのでしょうか.来年度以降の生活の目処も立たないことには落ち着いて仕事もできません」

一非常勤講師の怒りは,組合のそれまでの実績や知識と結びつき,即,団交申し入れとなった.

第1回の団交 (11/16) で,大学は,賃下げに対しては,「均衡待遇を考えて賃下げした」 という意味不明な説明,減ゴマに対しては,「大学教育センター長と教科集団代表が協議して決めた」 という説明を繰り返すだけであったが,組合は,均衡待遇の意味を丁寧に解説し,非常勤削減が大学教育と非常勤講師の生活に与えるであろう重大な影響について粘り強く主張し,2週間後の団交の開催で合意した.

そして,第2回の団交の冒頭で賃下げは撤回された (4月からの未払い分は年内に支払われる予定).

この賃下げ撤回の背景には,組合内外からの数え切れないほどの支援があるが,なんといっても一番の要因は,当事者の非常勤講師が,団結して立ち上がったことである.いつ雇い止めになるかわからない非常勤講師が声を上げることがどんなに大変なことか,非常勤講師ならみな分かっている.

賃下げは撤回されたが,減ゴマに関しては,第2回の団交では全く進展はなく,第3回の団交 (12/14) で,ようやく詳しいデータの開示があったものの「教学上の制度設計を組合に説明する必要はない」という姿勢を大学は崩そうとしていない.

大学当局も明言しているが,これは06年度の非常勤講師大量リストラの前倒し,すなわち,予告編である.予告編はフランス語だけだが,本編が実施されれば,全学の非常勤講師の生活権を脅かし,全学の教育環境を激しく悪化させることは避けられない.

賃下げ撤回は重要な勝利であり,神戸大非常勤講師や組合員の喜びは言うまでもないし,全国で賃下げ撤回を求めて闘っている非常勤講師に与えた希望も大きい.しかし,勝利に酔っている暇はない. 神戸大学非常勤講師の闘いは,これからが正念場だ.いっそうのご支援ご協力をおねがいしたい.

なお,賃下げと減ゴマ以外の問題では,就業規則を非常勤講師が見られる場所に常設すること,労災が非常勤講師にも適用されることを掲示すること,4月から始まった「お茶代のカンパ」をやめること,控室のプリンタを良いものにする (以上改善済み) や,交通費の支払いを年2回から月ごとに変更すること (準備が出来次第実施) など,小さいながらも確実な改善があった他,有名無実の有給休暇の適用方法,有給の産休制度を作ること,就業規則の更なる周知徹底,常勤講師と非常勤講師の均等待遇の実現についての検討が確約されている.

副委員長・神戸大件担当 遠藤礼子

○団体交渉報告○

立命館大学

(11/10)

立命館:教学部副部長他計6名.京滋私大教連:書記次長.組合:副委員長・書記長・執行委員3名の計5名.

★長年要求してきた健康診断がいよいよ立命でも来年度から実現されることになりました!

★図書館の貸出が20冊から100冊に大幅改善!

★出講手当の増額,検討中で12月末に回答,アップが期待される!?

○雇い止め,コマ数減については[立命館]一方的雇い止め,正当な理由のないコマ減は行なっていないし,これからもしない.

○私学助成「非常勤教員給与費」の大幅増額を講師給に反映させること[立命館]基本的に補助金が増えたからといってすぐさまそれを反映するという情況にはありません.

○私学共済および失業保険への加入は[立命館]四分の三,もしくは三分の二という方について加入ということで今の時点ではやっていく.任期制の講師の方は入っている.任期制の教授の方も希望があれば入ることができる.

○就業規則の作成について,立命館全体の就業規則改正の作業に入っているとのことで,その具体的内容について組合に知らせ,意見を聞き,反映するように求めていきます.

○組合員さんの声を伝えました.1)ゼミ個人指導ができる個室の用意.2)100キロ以上の交通費の実費支給.3)補講日設定の再検討.4)大学施設の利用改善(セミナーハウス・IT関連設備・施設). 担当者(M)

同志社大学

(11/24)

出席者は大学側から白水氏(総務部長)以下計4名.組合から新屋敷委員長以下,執行委員4名,組合員4名,京滋私大教連佐々江氏,計10名.

○交渉を正式な団交と位置付けることについて大学はこれを拒否.しかし交渉の内容については双方で確認できたことを総務部長名で文書化すると確約.

○次年度の契約については9月1日付けの出講調査をもとに本人の希望を優先する.

○雇い止め,コマ数減,コマ削減の場合は専業非常勤を優先的に残すこと,雇い止めの場合はその理由の明示等については,各学部の教授会で決めることなので,総務部長からは確約できない.言文センターでは専業非常勤を優先している.

○非常勤給与補助額が1・5倍化したことは大事なことと認識しているが,今すぐこれを給与に反映するという約束は出来ない.専任との格差は認めるが,均衡しているかどうかという観点には立てない.身分が違う.

○消費収支差額が38億円という指摘だが,法人全体として倒産は許されない.中・長期の見通しを持って経営している(組合は,引当資産が350億円,現金預金が315億円,有価証券が46億円,将来も安定していると校友会新聞にも書いてあると指摘).

○私学共済・雇用保険への加入は週20時間以上が条件(組合は大阪電通大は週3日もしくは5コマで加入できると指摘し検討を要求).

○雇用契約書および就業規則は作成していないが,講師規程でその代わりとしている.非常勤は短時間の嘱託なので,就業規則はなじまない.

○05年度から任期つき教員の増員(5年契約で6年目はなし)予定.ただし,この計画は非常勤を減らすということとはリンクしていないことを明言.

○夜間コースの手当てについては調べてお答えする.○有給の産休・育児休暇の規程作成については検討課題とする.○週二日きている人の年次有給休暇についても検討課題とする.○身分証明書は希望者に発行しているが,今後は自動的に全員に発行するか検討する.

○当組合から,次回は団交とすること,非常勤にかかわる規定の変更は当組合に意見を求めること,厚生労働省の「パートタイム労働指針」を遵守することを主張して,交渉を終えた.

(文責 長澤)

大阪外国語大学

*不当労働行為救済を求め地労委に申入れ

大阪外大が体育科目担当の非常勤講師二名を,当事者への説明責任を果たさずに今春雇い止めにした件に関し,関西圏大学非常勤講師組合は人事任命権者である学長からのお二人への説明及び,それぞれ謝罪と雇い止め撤回を求めて10月26日に団体交渉を行いましたが,大学はこの件に関して「国家公務員時代の件なので団交にはなじまない」と団交を拒否し,組合との話し合いの席に何の権限も持たない総務課長補佐を出席させ,何ら説明責任を果たしませんでした.これに対し組合は11月25日に,不当労働行為の救済を求めて地労委に申し入れをしました.

2004年12月20日に第1回調査が行われ,2005年には決定が下される予定です.

*賃下げ撤回を求めて12月8日に団交

12月8日団交で,大阪外大は今回は双方で意見を交換し,24日に回答すると約束しました.賃下げ撤回の件では,留学中の学生300人分の学費の欠損額が1億5000万円あり,文科省は留学率2%しか考慮してくれないが実際は12%である,等の理由で財政的に苦しい事情を御理解願いたいと言うだけで,何故非常勤給が8.5%も減らなければならないかの理由説明はありませんでした.

正当な理由のないコマ減・雇い止めをしない,と言う点では,11月に「来年は 2コマで」と打診されたにもかかわらず,12月になって「1コマ減」を言われた非常勤の方の問題で,就業規則に規定されている「苦情処理制度」を活用し,問題解決の約束をさせました.

(文責:新屋敷健)

関西大学

第二回団交(12月11日)

大学から池内常任理事以下計7名,組合から新屋敷委員長以下計7名が参加.

●現行の非常勤給与の根拠を説明し,あわせて給与の2倍化要求について回答せよ.

組合は2倍化しても8億円の上乗せですむと指摘.さらに組合の試算によれば,関大が自由に使える資金は186億円であると主張.また教養フランス語を例にとり,授業をすべて専任でやれば,現在の非常勤への支払いとの差額は2億2743万円となり,大学がいかに安上がりの授業をしているかを指摘し,非常勤給与の基準をあらためて問いただした.

これに対し大学は,非常勤の給与は慣習的にこうなってきたので,組合の主張は真摯に受け止めるが,いま急に給与アップというわけにはいかないと回答.そして「非常勤はいまの給与に納得して契約している.他大学と比較しても給与に遜色はないし,他大学と掛け持ちしている非常勤も多いので関大だけが突出することはできない」と発言.給与を2倍化できない要因については,金がないことを強調.組合の試算とは異なり,自由に使える金はないと発言.組合は,資金があまっているから給与を上げろといっているのではなく,必要なところに使えといっているのだと主張.一割でも上げる気はないのかと追求したが,ないという回答.

●大学は非常勤の待遇改善と称し,一年契約で5年の「任期つき」を考えていると発言.組合は「もし立命のような嘱託講師制度を考えているのなら再考せよ.非常勤はコマを失って,いま大変なことが起きている」と指摘.

●前回要求した「健康診断の無料実施」は実現.79名の非常勤が受けた.

●補助金:平成16年度分は来年2月ごろに来るので,それを見て17年度から具体的に考えたい.検討結果は来年3月中に回答する.

〔組合〕回答の内容次第では再度団交を要求する.最後に,前回の団交の結果も含めて,確認文書を交わすことを約束して団交を終えた.

(文責 長澤)

★各大学団体交渉の詳細は,組合ホームページをご覧ください.URL http://www.hijokin.org

「城」から…「城」へ

−神戸大学団交に至る道のり−

「来年から生活していけません!」

 10月中旬,仏語非常勤の同僚から電話があった.2005年度からのコマ数4分の1削減の通知を受けた直後のことである.

 昨年の同じ頃,私たちは既に苦い思いを味わっていた.2004年度からの独立法人化と軌を一にして,非常勤の時給単価を1割削減する旨知らされたのだ.当局側からすれば単に「単価改定」と称されるこの決定が,私たちにいかに大きな失望と不安をもたらすものであったことか…… 講師控室で,それは手に取るようにわかった.やり場のない怒りと苛立ち,既定事項として立ちふさがる「単価改定」への諦念,やる気を失うことなく教壇に立てるのだろうかという不安.そういった負の感情の渦が講師室の空気を支配し,これから教室へ赴こうとする私たちの心をかき乱していた.

 年度改まり,六甲山麓にある灰色の学舎へ相変わらず通いながら,カフカの長篇小説『城』を思い出していた.ある村の領主に雇われた測量士Kは,雇い主を探しながら見知らぬ村を右往左往するだけで,山上で霧にかすむ謎めいた「城」の中枢部に辿り着くことは遂にない.私たち非常勤講師の生活を大きく左右する事案を突然,情容赦なく押しつけてくる大学当局の恣意的とさえ思える意思決定のプロセスを把握することも,そこに当事者としての私たちの意向を反映させることもできない不条理な状況が,方向性を見失って冬の寒村を彷徨するKの姿を想起させたのである.

 しかし10月のあの電話が,私たちに「城」への道をたどる決意をさせた.幼子を抱えるその同僚とともに翌夕関西圏非常勤講師組合へ赴き,担当者との初会合を持った.担当者Eさんは,他大学での同様の事例とそこでの団体交渉の進捗状況,神大の事例が全体的な布置の中でいかに位置付けられるのか,また一方的な時給カット・授業コマ数削減が労働者の権利を守る諸法規をいかに踏みにじるものか,素人にでもわかるように懇切丁寧に説明してくれた(何せ,担当者自身が大学教師なのだ).その時,視界を遮っていた灰色の霧が一瞬にして晴れ,見渡しの利かない暗所から,パースペクティヴの開けた場所に立てたという爽快感さえ味わうことができた.より巨大な「城」から独立法人化を命じられ豹変した神大の現状に対して,今こそ楔を打ち込むべきであると痛感した.そうして関西圏非常勤講師組合神戸大学支部が設立され,大学教育が陥っていく方向への危機意識を共有する仏語非常勤講師一同が,ほどなく「組合活動」を開始した.

 担当者の尽力の甲斐あって,2度の団交の成果として「時給改定」撤回を得ることができたのは,実に大きな歓びであった.不慣れな団交の席でも,日々教壇に立つ私たちの思うところを,「城」の住人に直接伝えることができた.論理不明瞭・牽強付会で,「人間不在」の弁明を聞いているうち,普段教壇に立つ者としては彼らの杜撰な議論に「教育的」な介入をしたくなるのは抑えがたい. 私たちの主張を神妙そうに聞く彼らを前にして,「城」の住人はその姿が不可視であることこそ最大の武器であったことに改めて気づくのである.

 まだ団交は続いている.ともあれ,2か月前に電話をくれた同僚と,私たちを「城」の内部へと導いてくれた有能な「測量士」Eさんに感謝する.

( 神戸大学非常勤講師 P )

【労働相談活動報告】

労働相談活動に10月からゼネラルユニオンと共同で取り組んできましたが,たくさんの相談がありました.その中から,解決したものについて,ごく簡単に報告します.

1) 阪南大学:外国語担当のAさんに曜日変更の通知がありましたが,すでに一昨年大学からの求めに応じて現在の曜日に変更したこともあって,これ以上の変更は不可能と答えると,止めてもらってもいいというような返事でした.この相談を受けて,大私教にも加盟している教職員組合の委員長に調査を依頼したところ,担当者から撤回の連絡があり解決しました!

2)京都女子大:外国語担当のBさんに減コマ通知がありましたが,組合に依頼すると言ったら,撤回の連絡があり解決しました!

3)英知大学:外国語担当のCさんに雇い止めの通知がありました.組合から事実関係を確認する照会状を送付したところ,撤回の回答がありました!

その他,同志社大で曜日変更,神戸大で一律減コマ通知,愛媛大で減コマ通知,滋賀大で減コマ通知,立命館大で減コマ通知,大阪薫英女子短大で雇い止めなどがあり,係争中です.

★もし皆さんの中で減コマ通知や雇い止め通知を受けた方がおられたら,一人で悩んでいないで,すぐ組合に連絡してください.ご相談・組合加入は E-mail: info@hijokin.org まで!!